産経新聞によると、平成11年から21年まで10年間ユネスコ事務局長を務めた松浦晃一郎氏が、今回の南京記憶遺産登録についてインタビューを受けた。
http://www.sankei.com/politics/news/151016/plt1510160051-n1.html
詳しくは本文を読んでいただきたいが、実際のところ、論点は4つ
- 南京記憶遺産登録は「中国の中長期的な戦略に気づかず、対抗手段を取ってこなかった日本の敗北」とした点
- 取り消し自体はできないが、資料の一部に関して手続きを踏んだ正式な反論を提出すれば、その部分のみの登録取り消しは可能かもしれないと述べたこと
- ユネスコの制度改革として、政治的意図をもった今回のような登録騒ぎは、この記憶遺産では想定されていなかったことから、透明性が担保されておらず、その改革は必要だ
- ユネスコへの拠出金停止は、2年後の慰安婦登録に繋がりかねず、慎重であるべきとのこと
であった。
本インタビューでの気になった点は、やはり中国がこの記憶遺産登録に関してしっかりと準備をしていたという点。
特に学者の世界的なネットワークを構築していた、とする本論は傾聴に値する。
国際的に理解されうるような学者との交流などが、そもそもこの分野でなされることは難しい。
それは、日本の歴史学者の最大母体である日本歴史学会の立場からすると、南京事件は南京大虐殺であり、慰安婦問題は従軍慰安婦問題として結論づけられているからだ。
彼ら自体の認識が変わってゆかない限り、新しい展開は難しいのが実情だ。
先日、日本歴史学会の会員の方で、このような南京問題への反論を学会内で強く求めている方とお話しする機会があったが、実に鮮やかに自分たちの意見をスルーする学会の体質に、悔しさをにじませていた。
そして現実今反論している学者の方たち、保守言論人の方たちの声は、実は学会ではどうしてもメインストリームにはなりにくいというのが現実だ。
なぜなら、実際に声を上げている学者の方は、歴史学者ではないことのほうが多いからだ。
しかし、外部から正しい主張を繰り返し繰り返し行ってゆくことが昨年の朝日誤報訂正につながったのであり、決して無駄うちにはならないことは歴史が証明してくれるはずだ。
そして日本歴史学会でなくとも、世界各国の歴史学者とのネットワークを作り上げることが決してできないかといえば、そうではないと思う。
我々民間でもできうることは、何年かかってもやってゆかねばならないと、決意を新たにしたところだ。
最後に、本インタビューでは、ボコバ委員長に政治的意図があって登録をしたのではなく、拒否するプロセスがなかったからだ、と結論づけているが、そこは明確に反論しておきたい。
我々民間有志が7月30日に提出したボコバ委員長への明確な反論文、および反証資料を普通に読んでいただければ、南京事件自体がひとつのプロパガンダでしかなかったことは明らかだ。
我々以外にもきちんと反論を繰り返しているグループもあるわけで、そのボコバ委員長へのおもねり方は、決して的を得ているとは言い難い。
明確に中国共産党、習近平氏と近い存在であることは論を待たない。
その意味で、ユネスコ自体の透明性の確保は急務であり、その過程での記憶遺産事業のプロセス見直しは早急に行うべきだろう。
ちなみに、私の考えとしては、今回の登録のプロセスに即時異議を申し立て、再検討の上訴を行い、来年1年間、拠出金を全て凍結する。これは予断を待たずすぐに行う。
そして提案として、記憶遺産事業のプロセスの透明化を主張し、加盟国2/3の同意を得るように最大限努力を行う。各加盟国に透明化の理解を促す。
そのプロセスが変更された段階で、登録された南京事件の資料等を再度チェックし、再登録の可否を問い、登録が抹消されたら、拠出金復活を即時検討する。
という2段階の構えで臨むことが必要であると思う。
ともあれ、ユネスコ自体が本来政治的意図を排除すべきグループであるのに、いつもこのような問題が起きることに、
「そもそも存在価値がないんじゃないの・・・・」
と思わざるを得ないのが悲しいことだ。
本部国連職員の天下り先に堕しているのであれば、国連改革はまずはユネスコから行っていただきたいと思う。
ロンパプロジェクト 藤井 実彦